【第3章】「成熟」へのステージ
高度経済成長を過ぎた頃から、私たちの社会はそれまでの「成長」を突き進むだけのやり方とは違う、もう一つの生き方を選ばなければならなくなっていた。かつて企業戦士であった私にしても、一時的に過酷な時を余儀なくされてはいたものの、ある瞬間から憑き物が落ちたかのように身体と気持ちの力みが取れ、新たな自分への方向性を見出すことができたように思う。そして、35年間の“仕事道場”とも言うべき安田火災を辞した頃から、より精神的に豊かになれるものを求めて、新たな仕事、読書生活、音楽、美術、サファリを含む旅の世界へと歩みを進めていくことになる。それはまさに、心の「成熟」への旅だったと言っていいのではないか。その傍らにはいつも、私を私たらしめてくれた多くの友人・知人、そして心温かな仲間がいてくれたことは言うまでもない。
- 過酷な時を生きる昭和57(1982)年〜昭和61(1986)年/54歳〜58歳
- 内と外に広がる視野昭和61(1986)年〜昭和62(1987)年/58歳〜59歳
- さかのぼる眼、未来への交わり昭和62(1987)年〜平成8(1996)年/59歳〜68歳
- “本物”に近づく日々平成7(1995)年〜平成12(2000)年/67歳〜72歳
- “いま”を更新し続ける平成12(2000)年〜平成27(2015)年/72歳〜86歳
- 補遺
- あとがき